FP(ファイナンシャルプランナー)も困惑!おすすめできない従来型資産運用
うまみがなくなった定期預金や一部の投資信託
2016年1月31日、日銀の黒田総裁がマイナス金利政策を実行しました。2016年初頭から始まった日本株下落、円高・米ドル安に対処するためだったといわれています。
日本で初めて実施されたマイナス金利政策ですが、影響が出るのは当座預金の金利のみであり一般国民へは影響がないような報道がされていました。
「マイナス金利が実行されたのに、影響があるのは銀行の本体だけ?」・・・と個人的に思っていると、地方銀行を中心に定期預金の金利引き下げが始まりました。
次の2行は普通預金と同じ金利(0.020%)まで引き下げています。
- 横浜銀行
- 八十二銀行(長野)
100万円を1年間預けて付く利息が200円(税引き前)。。。
メガバンクやゆうちょも同様の動きで追従しそうですね。
国債中心で運用する投資信託は、運用困難になる商品もありそうな気配です。
サプライズ効果は一瞬!?
黒田総裁は銀行預金のマイナス金利を明確に否定していません。
今回のマイナス金利政策も「やらない」という方針を方向転換したものです。
市場へのインパクトを重視し、政策の効果を上げるにはサプライズ的な演出もやむを得ない・・・という判断のようです。
マイナス金利政策で先行する欧米諸国でも、銀行預金にまでマイナス金利になっている国はありません。
ただ「絶対にない!」ということは、言い切れません。世界市場の動向によっては銀行預金の金利にも影響が及び、政策転換にも注意しておいた方がよいかもしれません。
これまでの常識が非常識へ
「50歳過ぎたら積極運用はやめて安全資産へ・・・」
このような言葉が資産運用では常識とされています。
これからもそうかもしれませんが、「安全資産」の定義は変更が必要な時代になったようです。
<これまで>
安全資産→定期預金、国債中心の投資信託
<これから>
安全資産→自分で判断して投資先を変更できる知恵と手段を持つ。
「運用先」を増やし、「売り」の手段も資産運用に加える!
緩和政策、限界に近づく。
マイナス金利という劇薬によって為替は一時的に121円台まで円安に振れましたが、また円高になってきています。
日経平均株価も同様に下げ始めています。
緩和政策はすでに効果が薄いという現れですが、市場はさらに劇薬を督促しマイナス金利は拡大するのかもしれません。
日本円を銀行に預けておけば安心!という常識の方が確実にリスクになる時代になってしまいました。
政府はドル円:116円、日経平均株価:16,000円あたりを死守する意向があるようで、そのために黒田総裁は今後もマイナス金利の拡大、ETFの買い入れなどを行うようです。
GPIFはETFだけでなく、個別株を買うという具体的な話も浮上してきました。
日本政府の望む政策方向は、あくまで「買い」ということのようです。
もちろん、株価が下げ止まったと判断できれば「買い」は有効ですね。
ただ、GPIFが「買う」ということは海外ファンド勢にしてみると、「売る」要素を与えることになり、注意が必要でもあります。
預金以外の運用先
では、円預金のリスクを分散するには何に投資すればよいのでしょうか・・・
現状では、次のものが運用を分散する先として一般的です。
- 個人向け国債(変動金利10年型)
- 外貨預金、外貨MMF
- 個別株(配当重視)
- REIT
- 個別株(利幅重視)、ETF、投資信託
- FX、CFD
- オプション
「買い」だけの運用は自由度が低い!
個人向け国債について
通常、金融機関では元本保証タイプで金利は固定されているタイプを勧められるケースが多く、手堅い運用先と言われます。
ただ、マイナス金利ではそうもいかなくなりそうです。生保なども商品の運用難になる・・・との見通しもあります。
その代わりに、変動金利タイプを購入するケースが出てきました。
金利が減ると債券価格が上昇するという債権の特性を生かせば、金利収入の目減りを回収できるとの見方で購入するケースが増えているようです。
今後、金利が上がるより下がる確率の方が高いと推測している金融機関関係者が多いということでしょうか。
とは言え、個人もこの流れに追従して購入し、さらに購入したものを最後まで保有し続けるのは「?」です。
今の日本の状況から今後を想像した場合、「10年先まで冷静に持っていられるか?」と問われたら、微妙な商品とも言えます。
「2」〜「5」について
ご存知のようにこれらは元本保証ではなく、リスクを負って運用するタイプであり、外貨や株を「買う」という行為があって初めて運用することができます。
買って初めて「売る」という選択ができますが、最初から「売り」を選択することはできません。
下落が始まっても利益(キャピタルゲイン)にできないわけです。
利益を得るには、次の方法から選択する必要があります。
- 下落が底を打って反転してから買う!
- 上昇トレンドの途中(プチ下落時など)で買う!
- 上げようが下げようが買い続ける!
ドルコスト法は有益か?
一般に外貨預金や株は、外貨や株価が上げようが下げようが買い続けることで購入コストが平均化され、将来は高い運用益を確保できるという運用が推奨されます。
これをドルコスト法と言います。
自社株買いの勧誘などでは必ずと言っていいほどこのドルコスト法が引き合いに出されますね。
FP試験でも時々出題されていますが、弱点はあまり語られていません。
それは、右肩上がりの成長が前提の運用法であるという点です。
平均購入コストより下落が続くと、含み損が拡大します。
このため、塩漬け(含み損が拡大していても将来上がると信じて保持すること)かセリングクライマックス(下落の底近くで、「もっと下げるのでは・・・」と怖くなって売ってしまう)にかかりやすくなります。
また、使いたいときに平均コストより上昇している保証はどこにもありません。買い始める時期が、その後の運用益を左右します。
すぐに逃げられない「1」〜「5」
外貨MMF、投資信託は時価で売却して逃げることができません。
すぐに売りたくても、価格の確定は翌日以降の場合がほとんどで、思わぬ安値で売却されてしまうことがあります。
個別株、ETF、REITは底値付近で購入後に上昇を期待して購入しますが、売却したい場合に時間外ではできません。
暴落時には、すでに海外の売りが入っていて、翌日の寄付きには大幅に下げて始まる場合が見受けられます。
このようなことから、「すぐに逃げらるか否か」を個人的に重要視しています。
逃げ遅れると、売るタイミングが後へ後へとずれ込み、塩漬けの基になりやすいからです。
「6」、「7」について
FX、CFD、オプションは買わずに「売り」から仕掛け、利益を得ることができます。
オプション取引は難易度が高いので、資金的にかなり余裕がある方向けと思います。
FX、CFDは組み合わせた通貨や商品のペアによっては普通預金のように金利収入(インカムゲイン)を得ることも可能です。
10年ほど前は100万円単位での取引がメインだったので手を出しにくい状況でしたが、現在は1〜100円単位でも取引が可能な会社も現れています。
銀行や証券会社と違い、月〜金の24時間で売買でき、逆指値を仕掛けておくことで想定外の損失にも対処できます。
例えば、国債格付けが高く、金利が日本より高い国の通貨のペア(豪ドルと米ドルなどのペア)を選べます。
日本円より高い金利を得たり差益を得ながら、日本より経済的に安定した国の通貨で運用できるのですから、今後は今まで以上に魅力のあるお金の預け先になっていくでしょう。
FX会社によっては、建て玉を決済しなくても金利収入のみを出金することも可能です。
FXやCFDは損失が大きくなりコワイというイメージがあったりしますが、入金したお金以上の取引が可能な方法のため、損失が知らず知らずに拡大してしまうことが原因です。
取引のスキルを最初にしっかり学びましょう。
初心者の場合、取引ツールやチャートの見方に慣れるため、デモトレードや少額取引をしてから本格的な取引に移行することが肝心です。
利益を出すことを焦って、いきなり高額で取引を始めると痛い目にあいがちです。
利益を出すために手順を踏み、まずは自分の勝ちパターンを確立することに専念しましょう。
まとめ
銀行預金はこれまでのように安全資産とは言いにくい時代になりました。銀行預金に偏った資産を国債格付けの高い国の通貨や商品に分散しておく検討をしておきましょう。
また、「買い」だけでなく「売り」でも利益にできる資産運用を勉強し、身に付けておきましょう。
もちろん、勉強に当たっては少額資金から始めるのが鉄則です。
FP資格の勉強で得た「管理」する方法はあらゆることに通じる!
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この「管理」する方法を資格取得を通じて身につけると、その後のライフイベント全般を通じて非常に応用が効きます。
会社の仕事面では、目標達成に当たって、必要なもの、人物、日程を管理しながら進めていく基礎ができます。
健康面では、起床・終身時間、食事の内容と時間、適度な運動をする、という維持・管理が習慣になります。
お金の管理や勉強の仕方は、銀行預金の入金・出金に始まり、株、FX、CFD、投資信託、不動産などへの投資と応用が効きます。
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